筆者は都市部で10年間ほどフローリストとしてフラワーショップで働いていました。 そして結婚を機に地方に移住し、主人と共にバラ園経営者として働く日々を送っています。そんな経験から役立つ情報を公開できたらと思います。 ○都会から地方へ移住をしてみたい方 ○花が好きで栽培にも興味がある方 ○生産者の仕事が知りたい方 ○現在フラワービジネスをしていて、生産の経験もしてみたいと考えている方
花の生産者の仕事とはどんな仕事?
花の生産者と言っても、例えば鉢植えや苗ものを生産しているのか、切花を出荷しているのか、などいろいろな生産者の方がいます。
筆者は切花のバラを専門で生産・出荷している「バラ園」で働いていますので、バラ切花生産者をベースにご紹介します。
バラを育てる・毎日の管理
- 苗を入荷し、出荷できる花が収穫できるようになるまで育成(花の生産はグリーンハウスでの生産が一般的)
- 育成段階においても収穫ができる段階においても、商品価値を高める毎日それぞれの管理が必要
- 農薬散布・施肥(肥料を与えること 筆者のバラ園では灌水と同時に行なっています)
- 苗を定植して年数が経つと生産状態が採算が合わなくなる品種が出てくる⇨改植を行い効率アップを図る⇨数年サイクルで繰り返す(筆者のところでは現在毎年平均5〜7品種を植え替えています
収穫する
- 毎朝全員で出荷時期を迎えた花を収穫します
- 毎日花は咲いていくので基本的に毎日収穫します
選別作業をする(出荷準備)
- 選別作業とは花の長さ、大きさ、茎や葉・花の状態などにより各階級に花を分けて結束して、出荷・販売をしやすくする作業のことです
- 具体的には40㎝〜90㎝まで10㎝単位で分けて結束
出荷をする(注文対応など含む)
- 選別が終わった花を箱やバケット等に入れて各市場に向けて出荷
- 当園は委託配送業者に各市場に運んでいただいています
- 近郊の市場に一部持ち込むこともあり、生産者の方によってどこに出荷しているかは様々
- 何をどれだけ出荷したのかを明確に把握・共有し・市場での販売を有利に展開するために事前に各市場へ情報を送っています
- 情報は市場によりアナログだったりデジタルだったり
花の種類によって縦箱に入れて出荷する産地もあれば、横に寝かせた状態で出荷する産地もあると思いますが、当園では水に浸けた状態で出荷できるバケット出荷をしています
ここまで実際の花に関わる基本の仕事について触れてきましたが、栽培するためのグリーンハウス設備(灌水・温度・湿度・日照管理など)や
他の自営業と同じように経理・営業・人事等の仕事もあります
加えて産直ネット販売部門や地元の皆様に向けてのギフト需要対応なども行なっています
花の生産者の1日ってどんな1日?
筆者と夫の1日のスケジュールをご紹介
夫も筆者も状況や時期によっては夜遅くまで作業をしなくてはいけない日もあり
このスケジュールでいつも動けている訳ではありません
例えば気候や温度などで開花数が多い時期は選別や管理作業のボリュームも必然的に増えますし
逆に花の量が少ない時期は作業時間も少なくなります
当園はバラを生産しているので
ハウスの温度管理に空調設備(暖房冷房)等を入れての周年生産ですが、花によって一年のうち季節限定で生産されるものも多いです
夫と筆者の役割分担
- 個人事業主
- 市場との取引・連絡全般
- ハウス管理責任者
- 農薬散布
- 品種選定
- 日々のハウス管理
- 選別時各市場への振り分け
- 人事責任者
- 共同経営者
- ネット販売部門担当
- ギフト販売部門担当
- 経理(給与関係・申告関係)全般の管理
- 事務全般の管理
- 日々のハウス管理
- 選別等
花屋⇨花の生産者になって良かったこと BEST 3
筆者が10年近く仕事としていた花屋から結婚を機に花の生産者になって良かったことを3つご紹介します。
- 『消費者への販売』経験を市場や店舗への販売に生かすことができた
- フラワーデザインの経験・知識を活かして既存の生産の仕事に自分なりのスペースを持つことができたこと⇨自己効力感・自己肯定感
- 花の知識があることでシンプルに仕事に自然に入っていけたこと
花屋をやめるときに感じた『もったいない感』も仕事を自分色にしていく過程でどんどん消えていきました。
まとめ
おすすめ!生産者業!
ここまで筆者のバラ園のお話を中心にして花の生産者業に触れてきましたが、いかがだったでしょうか。
仕事のあり方が『自分次第』の部分の多さが筆者には合っていると思っています。
都市部では場所や時間の制約でできないことも地方ならできる、ことも多く
利便性と引き換えに得られるプライスレスなものがたくさんあると筆者は思っています。
もちろん、大半の方にとって、地方移住・転職というのは簡単なことではないと分かってはいます。
「生産者業」という分野がいわゆる〈儲かる分野〉であると声高にいうこともできません。
しかし本当に「自分次第」で、まだまだ可能性があると感じている筆者はあえておすすめしたいと思っております。
現在仕事場と自宅の往復で何処か息苦しさを感じていて、『何か変えたい』とき
その選択肢の一つとして頭のどこかにおいていただけたら嬉しく思います。
花業界からの転職はとってもスムーズ
もしもあなたが花屋さんなら。
市場で働いていたら。
地方で花を育てる、というのは遠いことのようで、案外近いものなのかもしれません。
お店に入荷している花の産地さんで「お気に入り産地」はありませんか?
そんな産地さんを調べてみたら意外と・・・なことがあるかもしれません。
普段の仕事で花に触れている方なら特に、生産者として働き始めるそのとっかかりがとってもスムーズです。
なぜかと言えば、もう花に触れ慣れているからです。
どのくらいの力加減で花に触るのか。
どのくらいで茎が折れてしまうのか。
どのくらい水につけないと花は萎れてしまうのか。
もうご存知ですよね。
それってすごく強いんです。
一から生産者になると、まずそこから勉強しなくてはいけなかったりします。
遠いようで案外近い選択肢かも・・・
おまけ:都市から地方に移住してのあるある 〜九州・佐賀編〜
- 公道を当たり前のようにコンバインが走る
- おじいちゃん・おばあちゃん世代の会話は宇宙語
- 醤油が甘い
- スーパーのお刺身のレベルが高い
- 雪降るんだ!?
- Gのようにカニがいる
- 基本アポなし訪問
- 休日の大型ショッピングモールの混み具合
- ムツゴロウ 食べるの??
- 蟹の常識が変わる
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